KT289G　新スプリアスフィルタ参考教程

要求はなんと -６０ｄB（100万分の一）
技術、魔術？の教程です　難易度★★★★

　実測要求、JARDスプリアス保証認定を技術・魔術？でなんとか

KT289GはこれまでTSSの保証認定で使用可能でした。
でもJARD保証認定では個々に-60dBをデータを要求します。

なぜそこまで要求するの？
業務機っぽいトランシーバで遊びたいだけなのに。
こういうときは魔法を使うしかないですね、、。

ここは海外製ハンディ機の内部にフィルタを入れて-60dB達成するまでの一例です。
フィルタ改造パーツはKT289Gの頒布を受けた方にはさし上げています。

■第一段階　実力測定・フィルタ作成〜取付試験

入学試験、実力測定です

[KG289G]→［50ｄB　ATT］→[スペアナ]　
２倍だけ悪くて実力は-47dB、ヨーロッパ、旧FCC基準でしょうか。

魔術の材料

フィルタ作成キット一式

exJH5GHKさんの設計（レシピ）です



２倍波を落とす設計になっています。

コイルは３ｍｍの竹串に２Ｔ巻いて作ります

試作の数々、JL1KRA,exJH5GHK加藤さん。

なお、JL1KRAがフィルタをネット上ツールで設計した例（チェビシェフ 、これは組み込んだときちょっと足りないかも）
RF Tools _ LC Filter Design Tool  440MHz (2).pdf

以下は加藤さんの設計（魔法かな？）されたフィルタで進めます。

Nano VNAで実測してみる

S21（水色）挿入損失が900MHｚ近辺で-２０ｄBあるのでよい。
減衰極をドンピシャにするのは相当難しい。

exJH5GHK加藤さんの実測データ -64dB達成

外付けで測れた時点で念のため記録してしまいまう。
組み込みをしない、うまくできなかった人はこのデータを使うようにする。
測定が終わったら組み込み用に作ったフィルタからSMAコネクタのハンダを外して、第二段階に進みます。

■第二段階　トランシーバー内部への組み込み

解体ショーの始まり、裏のネジをトルクスT9レンチで外します

RFコネクタ、VOL.DIALのリングをピンセットで回ります。

ダイアル軸を押してダイキャストをプラ筐体から押し出します。

防水Oリングをきれいに外してください。


基板のネジを１０本外します。


ようやく裏返してRFフィルタと作業箇所が現れます。
逆SMAコネクタのところにフィルターを実装します。
ここまでの分解作業が正直一番面倒です。

ダイキャストの反対側の窪んだ空間をよく見て考えて下さい。
ここに追加フィルタははまります。

フィルタ基板を仮置きする。楽勝かと思ったが、これでは入らない。

ダイキャスト側と干渉するため、フィルタ基板御周辺を削って小さくしていった。
コイルの位置もコネクタ側にちょっと寄せる。

コイルの位置がズレると、ダイキャストにはまりません。
絶妙な位置に基板がはまります。

ダイキャスト側はカプトンテープでショート防止する


SMA逆コネクタの裏側で芯線をカットしフィルタをハンダ付けします。
グランド側の配線を忘れすに、コネクタ横にハンダ付け
ダイキャストを何度もかぶせ、外しスムースにハマるか確認します。
全部リグを組み立てます。そうしないと測れない。

最終実測状態
ダイキャスト内に詰め込みケースを閉じて測ると若干悪化した。
組み込み途中でコイルにさわったりハンダ中に外れてしまったからだろう
ー６０ｄBギリギリでした。

トランシーバーの分解が面倒で、もう一回開けてやり直す気にはならない。

以上

de JL1KRA