QYT28ファイナル放熱関係
現在頒布中のトランシーバーは対策済みです
◆過去経緯・・・ファイナル物語 ニャンダース+GHK加藤さん+関係各局+JL1KRA
(1)多分このトランシーバーの第二ロット製造にて起きたこと、頒布での対策
・作ってみたところ基板が干渉してしまう。
ネジ締め機セルフタップ、予定通りTO220を締結できない。
アルミダイキャスト側は金型を変更できない。基板は削れない。
そこで熱伝導の良いセラミック板を用いて、接触するようにした(薄くならない)。
この結果MOSFETのダイ付近は接触するがタブの部分は浮いてしまった。
熱は十分に外に出ている。
ネジ止めは作業させない。だからセラミック板の向きはあえて逆(ここ想像)
(2)この状態でいいか?⇒多分良い、何故なら壊れていないから(断定はしない)
ファイナルFQP13N10JPの効率がmax50%として、発熱は4W以上になります。
データシートから、熱抵抗はJunction-to-Case:2.31℃/W、Junction-to-Ambient:62.5℃/W です。
ご存じのようにTO220放熱板無しで耐えられるのは1Wくらいまで。
放熱器に接触している場合、熱抵抗が仮に10[℃/W]とすると、
(10+2.31)×4=49.24℃、温度が上昇します。放熱器がない/接触して
いない場合、62.5[℃/W]×4[W]=250[℃]の温度上昇になるので、
送信開始後しばらくで熱破壊になります。
放熱の計算は以下のWebを参照。
http://www.picfun.com/heatsink.html
つまり現在使用していて破壊していないなら放熱器に接触して
いると期待してよいと思います。また、計算上は、雰囲気温度が
30℃(夏)になったからと言って、熱破壊する可能性はほとんどないと思います。
今回は、放熱器として利用しているアルミダイキャスト?と
パッケージ(TO-220のタブ)の押えが十分でない可能性があるので、
その空間/隙間を埋めるように熱伝導体としてグリスを使うということだと理解します。
⇒アルミダイキャスト寸法測り、引用の計算に当てはめると
約5×13cm=65cm2くらいでt=3mmとして熱抵抗7℃+2.31×4w=37.24℃
20分間CQ出しっぱなし。真夏の砂浜よりは熱くないが風呂よりは熱い
⇒50℃くらいか(実験結果に一致、BNCの温度45℃)。
(3)対策⇒シリコングリス増量
A:基板の上からシリコングリスを注射で注入
無線機を分解します。LCDパネルをそっと外してその下にファイナルが現れます。
注射器入りのグリースを使って、ゆっくりゆっくりグリスを注入しました。
開けてみると4−5割は面積的に入りました。十分でしょう。
熱伝達量 Q=hAΔTで面積Aを稼いだ。
B:基板を外してからシリコングリス
基板を外して塗布
https://jo1acw.blogspot.com/2022/03/qyt-28.html
ニャンダース軍曹のBlogを参照してください。
対策までは簡単。外れないときは必ず何かを忘れています。
・中心になるOKボタンを軽く押すと黒い樹脂の筐体の中から、ダイキャストと基板が浮き出てきます。
・何が難しいかというと無線機を元に戻すのが難しいです。
・電池接続端子のゴムのズレ注意
・BNCセンターピンを再び穴に通すことができるか?、回ってしまいます。
グリス注入作業時補足注意事項 New
・ケースを戻すときにSP線をケースと基板の間に挟まないようにしてください。
噛むとSP線が切れてショートします。 このようなルートで納めてください↑
(4)グリス入れて本当に効果あるの?⇒ありました
ファイナルの温度プロファイルから検証します。
サンプル機はファイナルタブの浮きが大きい一台、ダイ付近は接触しています。
検証の温度測定のためカプトンで熱電対を貼りつけます。
本当はフランジ裏側に貼りたいですが無理なので、モールド表から。
送信試験は3分間×5セットです。TOT=3分で切れるので、少しだけ休みが入り送信再開します。
測定したところグラフを見てケースまでのΔTJAも加味して、破壊TJ=175℃(ディレーティング多少)
までは相当な余裕があると感じられます。
送信パターンはQSOではありえない過酷な連続送信にしてみました
ファイナルに措置無しですとモールド上面で100℃まで上がりました。まったく壊れそうにないです。
普通のQSO、TX2min-RX2minなら何の対策をしなくても70-80℃あたりをキープするでしょう。
シリコングリスを入れた場合にはファイナルの熱をさらに効率よくダイキャストに
シンクして一体化した状況が分かります。20-30℃程温度が下がります。
ネジ止めするとさらに良くなります。
(4)では壊れる原因は?セカンドソース起因+放熱も多少あるか?
(発生事例)送信中にシャットダウン
→電池切れと思い乾電池バックに交換→過電流ファイナル焼損
シャットダウン電源断したら保護回路のない電池パックを無理やり使わない。
無線機内では電池取り外し後も長時間電荷が確認されています。
誤動作防止のため異常終了時は最低3分、30分くらい放置してから再起動ください。
稀に初期設定の3分間TOTをシャットダウンと勘違いする方ありますが、違います。
ファイナルのFQP13N10JPについて JA5GHK/exさん
バカでかい仕様の電力MOSFETなので、動作中の発熱とか高SWRとかで壊れるとは、
考えにくい気がします。大電力仕様なので、何かの際にONしている可能性ないでしょうか。
ON抵抗は108mΩと表示されています。
【可能性1】◎
QYT28はAM出力が可能なので、ファイナルはClass-AまたはABで動作していると思いますが、
ゲートに何かノイズが入って、リニア状態から完全ON状態になった可能性。
KN-Q7Aのファイナルと同じように、ゲートに過電圧をかけるとすぐ壊れます。
【可能性2】?
他の可能性は、Vgバイアス電圧の温度補償がうまく出来ていない、とか。
Vgs=4Vを印加する(データシートのfig2)と、25℃時には0.55Aでも、175℃時には1.5A程度になるので、
発熱に耐え切れず熱破壊する可能性もあると思います。
その場合は、ダイキャストへの押さえが良好なら、問題ないのかもしれません。
参考サイト
ttps://www.fujielectric.co.jp/products/semiconductor/model/powermosfets/application/box/pdf/MTET0-3179_J.pdf
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/si/si_sr/si_sr04/10334
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/intel/121897/
◆機器の開け方(ニャンダース式)
トルクネジT9、ツマミ全部、BNCとエンコーダーとボリュームのワッシャネジを全て外します。
その時にスピーカーマイク差し込みのところのラバーは開いておきます。
下からOKボタンをぐいーーーっと押すとダイキャストと基板全体が全体が浮き上がってきます。
その後、基板も外したい時はBNC芯線とGNDの半田を基板から吸い取ると外せます。
元に戻す時は必ず逆の手順(基板とBNCを半田つけ、ネジを締めて一体に戻してから)行って下さい。
そうしないと上手くハマらず抜くこともできなくなります。
(注意)分解して壊してしまったものは保証の対象外です。
Weak people revenge. Strong people forgive. Intelligent People Ignore.
現在頒布中のトランシーバーは対策済みです
◆過去経緯・・・ファイナル物語 ニャンダース+GHK加藤さん+関係各局+JL1KRA
(1)多分このトランシーバーの第二ロット製造にて起きたこと、頒布での対策
・作ってみたところ基板が干渉してしまう。
ネジ締め機セルフタップ、予定通りTO220を締結できない。
アルミダイキャスト側は金型を変更できない。基板は削れない。
そこで熱伝導の良いセラミック板を用いて、接触するようにした(薄くならない)。
この結果MOSFETのダイ付近は接触するがタブの部分は浮いてしまった。
熱は十分に外に出ている。
ネジ止めは作業させない。だからセラミック板の向きはあえて逆(ここ想像)
頒布元における150台の分解検査状況 ・ピッタリとファイナルがしっかり接触している⇒2割 ・3Mハイパーシートのようなクッション状の放熱シートが入っている!⇒1割 ・TO220タブの浮き0.3-0.5o、一部接触⇒6割 ・TO220タブの浮き1o⇒1割 |
(2)この状態でいいか?⇒多分良い、何故なら壊れていないから(断定はしない)
ファイナルFQP13N10JPの効率がmax50%として、発熱は4W以上になります。
データシートから、熱抵抗はJunction-to-Case:2.31℃/W、Junction-to-Ambient:62.5℃/W です。
ご存じのようにTO220放熱板無しで耐えられるのは1Wくらいまで。
放熱器に接触している場合、熱抵抗が仮に10[℃/W]とすると、
(10+2.31)×4=49.24℃、温度が上昇します。放熱器がない/接触して
いない場合、62.5[℃/W]×4[W]=250[℃]の温度上昇になるので、
送信開始後しばらくで熱破壊になります。
放熱の計算は以下のWebを参照。
http://www.picfun.com/heatsink.html
つまり現在使用していて破壊していないなら放熱器に接触して
いると期待してよいと思います。また、計算上は、雰囲気温度が
30℃(夏)になったからと言って、熱破壊する可能性はほとんどないと思います。
今回は、放熱器として利用しているアルミダイキャスト?と
パッケージ(TO-220のタブ)の押えが十分でない可能性があるので、
その空間/隙間を埋めるように熱伝導体としてグリスを使うということだと理解します。
⇒アルミダイキャスト寸法測り、引用の計算に当てはめると
約5×13cm=65cm2くらいでt=3mmとして熱抵抗7℃+2.31×4w=37.24℃
20分間CQ出しっぱなし。真夏の砂浜よりは熱くないが風呂よりは熱い
⇒50℃くらいか(実験結果に一致、BNCの温度45℃)。
(3)対策⇒シリコングリス増量
A:基板の上からシリコングリスを注射で注入
無線機を分解します。LCDパネルをそっと外してその下にファイナルが現れます。
注射器入りのグリースを使って、ゆっくりゆっくりグリスを注入しました。
開けてみると4−5割は面積的に入りました。十分でしょう。
熱伝達量 Q=hAΔTで面積Aを稼いだ。
B:基板を外してからシリコングリス
基板を外して塗布
https://jo1acw.blogspot.com/2022/03/qyt-28.html
ニャンダース軍曹のBlogを参照してください。
対策までは簡単。外れないときは必ず何かを忘れています。
・中心になるOKボタンを軽く押すと黒い樹脂の筐体の中から、ダイキャストと基板が浮き出てきます。
・何が難しいかというと無線機を元に戻すのが難しいです。
・電池接続端子のゴムのズレ注意
・BNCセンターピンを再び穴に通すことができるか?、回ってしまいます。
グリス注入作業時補足注意事項 New
・ケースを戻すときにSP線をケースと基板の間に挟まないようにしてください。
噛むとSP線が切れてショートします。 このようなルートで納めてください↑
(4)グリス入れて本当に効果あるの?⇒ありました
ファイナルの温度プロファイルから検証します。
サンプル機はファイナルタブの浮きが大きい一台、ダイ付近は接触しています。
検証の温度測定のためカプトンで熱電対を貼りつけます。
本当はフランジ裏側に貼りたいですが無理なので、モールド表から。
送信試験は3分間×5セットです。TOT=3分で切れるので、少しだけ休みが入り送信再開します。
測定したところグラフを見てケースまでのΔTJAも加味して、破壊TJ=175℃(ディレーティング多少)
までは相当な余裕があると感じられます。
送信パターンはQSOではありえない過酷な連続送信にしてみました
ファイナルに措置無しですとモールド上面で100℃まで上がりました。まったく壊れそうにないです。
普通のQSO、TX2min-RX2minなら何の対策をしなくても70-80℃あたりをキープするでしょう。
シリコングリスを入れた場合にはファイナルの熱をさらに効率よくダイキャストに
シンクして一体化した状況が分かります。20-30℃程温度が下がります。
ネジ止めするとさらに良くなります。
(4)では壊れる原因は?セカンドソース起因+放熱も多少あるか?
(発生事例)送信中にシャットダウン
→電池切れと思い乾電池バックに交換→過電流ファイナル焼損
シャットダウン電源断したら保護回路のない電池パックを無理やり使わない。
無線機内では電池取り外し後も長時間電荷が確認されています。
誤動作防止のため異常終了時は最低3分、30分くらい放置してから再起動ください。
稀に初期設定の3分間TOTをシャットダウンと勘違いする方ありますが、違います。
ファイナルのFQP13N10JPについて JA5GHK/exさん
ドレイン耐圧:100V ドレイン電流:12.8A(DC)、51.2A(パルス) 消費電力:65W、熱抵抗:0.43W/℃ |
考えにくい気がします。大電力仕様なので、何かの際にONしている可能性ないでしょうか。
ON抵抗は108mΩと表示されています。
【可能性1】◎
QYT28はAM出力が可能なので、ファイナルはClass-AまたはABで動作していると思いますが、
ゲートに何かノイズが入って、リニア状態から完全ON状態になった可能性。
KN-Q7Aのファイナルと同じように、ゲートに過電圧をかけるとすぐ壊れます。
【可能性2】?
他の可能性は、Vgバイアス電圧の温度補償がうまく出来ていない、とか。
Vgs=4Vを印加する(データシートのfig2)と、25℃時には0.55Aでも、175℃時には1.5A程度になるので、
発熱に耐え切れず熱破壊する可能性もあると思います。
その場合は、ダイキャストへの押さえが良好なら、問題ないのかもしれません。
参考サイト
ttps://www.fujielectric.co.jp/products/semiconductor/model/powermosfets/application/box/pdf/MTET0-3179_J.pdf
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/si/si_sr/si_sr04/10334
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/intel/121897/
◆機器の開け方(ニャンダース式)
トルクネジT9、ツマミ全部、BNCとエンコーダーとボリュームのワッシャネジを全て外します。
その時にスピーカーマイク差し込みのところのラバーは開いておきます。
下からOKボタンをぐいーーーっと押すとダイキャストと基板全体が全体が浮き上がってきます。
その後、基板も外したい時はBNC芯線とGNDの半田を基板から吸い取ると外せます。
元に戻す時は必ず逆の手順(基板とBNCを半田つけ、ネジを締めて一体に戻してから)行って下さい。
そうしないと上手くハマらず抜くこともできなくなります。
(注意)分解して壊してしまったものは保証の対象外です。
Weak people revenge. Strong people forgive. Intelligent People Ignore.